京畿道
料理の特徴 : 全体的に素朴で量が多い特徴を持っている。
代表食べ物 : チョレンイトック、 ソガリメウンタン、紅なまこ、和え物、チョゲタン、チュアッ(餅)、片水 鶏スープ、ケゴルムキムチ、ボッサムキムチなどがある。

北漢江のシナケツギョ料理
漢江のソガリ(シナケツギョ=スズキ科の淡水魚)は、昔から珍重された魚で、宮中への貢物として毎年の旬には欠かすことなく王に進上していたといういわくつきの魚でもある。ソガリの刺身の味ですが、新鮮な肉がシコシコとした噛みごたえがあって、味は香ばしく実に美味しい。少しも生ぐささは感じられない。さて、次ぎは「ソガリメウンタン」(シナケツギョの唐辛子味噌スープ)であるが、この料理の作り方をみると、なるほどメウン(辛いという意味)汁といういわれを知ることができる。ソガリを土鍋の中に入れて水を注ぎ、強火の火徳(コンロ)にのせてその中に、唐辛子味噌を入れ、ニンニク、生姜、葱、青唐辛子、芹、韓国ガボチャなどの具と薬味を入れて、煮上がった頃、最後にとどめの唐辛子粉をドバッと入れて出す。こうして、こってりとしたメウンタンが出来上がるのである。このソガリ・メウンタンは宿酔をさっぱりとさましてくれるので、一名を「醒酒湯」ともいう。八堂には、この醒酒湯を専門に売っている店が十軒以上もあって、中でも韓一館が有名である。

仁川の蛤スープ
韓国全土にチョゲタン(蛤スープ)は、いたるところに多いが、しかし、干潮と満潮の差が激しい仁川(インチョン)の干拓地で獲れる蛤は、大きいこともさることながら、身はしまっているし、砂もあまりふくんでいないので、昔から有名である。蛤は、消化もよく、古くから人体に善いと言われており、漢方でも衰弱した病人に貝類の湯(とう)を作って食べることをすすめているほどである。
スープを作る時、蛤を洗って鍋の中に入れ、10分ぐらい火の上に置くと、すぐ口を開くのだが、海から拾いあげたばかりの蛤の中には煮ても焼いても口を開かないものがあるため、前もって包丁で口を開けてから鍋に入れる。蛤が口を開けると、水を注ぎ、葱、ニンニク、生姜、塩、胡椒、唐辛子(乾燥した)の糸切りなどの薬味を一緒に入れて煮ると、「蛤スープ」になる。ここの蛤スープは水を沢山入れないため、スープは鍋底に少々(約三分の一ぐらい)たまる程度で、その代わり蛤だけは鍋いっぱいのまま、鍋ごとにお膳に出すという点だけが、仁川の蛤スープの特徴といえよう。人によっては、スープというイメージから離れた蛤煮という感じがしないでもない。また、鮮魚の刺身料理をはじめ、各種の貝類料理もあって酒肴にはこと欠かない。

陶芸の町、利川のケゴルム・キムチ」
陶芸の町として知られている利川(イチョン)には、韓国全土、どこをさがしてもない、この地方だけのキムチがある。その主材料である「ケゴルム」(変態大根の一種)が問題なのである。かつて、この地方の農家には、特異なキムチがあった。通称「ケゴルム・キムチ」と呼ばれたもの。現在では、よっぽどのことがない限りお目にかかることは難しい珍奇なキムチである。この幻の「ケゴルム」大根は、直径5cm、長さ8〜10cmの丸っぽい赤人参の形をした。コリコリしたとても堅いところが一般の大根と異なっている。
この「ケゴルム」と称する大根は二百年位前から、この地方の石塀の間に自然発生していたのを採って自家の庭に植え替えて繁殖させ、大豆畑か綿花畑に間作してきたのだという。この「ケゴルム」、不思議なことに、他地方の土質には成長できず、この利川地方、特に新屯(シンドン)面地方の砂質土壤でだけ生育が可能で、耐寒性の強い植物だという。ケゴルムを漬けるには、ケゴルム大根の根っ子を整えてから塩をふりかけ、少しの間ねかせておいてから、麦の煮汁か、メリケン粉で薄い糊状にした汁に、唐辛子粉を赤く溶かしてかけ、ちょうど、「チョンガク・キムチ」式に漬けておくと、次の年の秋まで食べられる。酒を飲みすぎて二日酔いの時は、このキムチ汁を茶碗一杯飲むと、すうっとして胸のつかえまで治るというのが、この地方の古老たちの自慢の種になっている。