昼食時には門前に列をつくっているほどの盛況ぶり
面白い名前の魚腹錚盤(オボックチェンバン) この「魚腹錚盤オボックチェンバン」は韓国政府の無形文化財にとりあげたほどのものです。平壤の名物料理の「オボックチェンバン」を注文しますと。食卓の上に火の入ったコンロが持ち込まれた。暫くすると、直径50cmになる銅の丸盆の中に、牛の腹の皮脂、肉(牛肉の助肉を煮て薄く切ったもの)、それに春菊、ゆで卵の切身、葱、松の実などを肉の上に見栄えよくのせて、その上から熱い肉水(牛肉のダシ汁)をザァッとかけてくれる。盆の中央にはこれらの具をつけて食べる酢醤油を入れた小さな深皿がのっている。これが魚腹錚盤(オボックチェンバン)料理であります。そこで、この料理の名称がちょっと面白いので平壤料理専門家に質問した、魚が一つも入っていないで肉とか内臟の、いわば寄せ鍋なのに、オボック(魚腹)というのは、どういうわけなのかと聞いたところ、「ここらの人たちは平壤方言を知らないから、勝手に(オボック)を魚腹と思っただろう。オボックというのは平安道の方言で、肉のロースのことさ」と一笑。このお盆の寄せ鍋?を食べて、体がポカポカしたところで、冷たい「平壤冷麺」を食べると、ひと味変わったものでありました。
はさみで切ってくれる、平壤冷麺(ピョンヤン・ネンミョン) 冷麺を注文すると、汁のたっぷり入ったトンチミ・キムチと、それうえ茶碗にユックス(冷麺につかうダシ汁)をお茶代わりに出してくれます。ユックスを飲んでいる間に、冷麺が運ばれてくるが、小さな洗面器のようなステンレスの容器の中に、冷麺の玉がとぐろを巻き、その上に、梨、豚肉のチャーシュウ、ゆで卵の半かけら、水で洗った白菜キムチ、または、胡瓜の塩もみをのせてあります。もちろん、氷の塊りも。まず、酢と醤油を適当に冷麺の汁の中に入れて好みの味をつけ、芥子も入れる。それから箸を両手に持って麺玉をほぐすのであるが、この玉の条が長くて食べにくい時には「アガッシ」(姐えちゃん)に頼んだら、大きな裁ちばさみをもって麺の玉をチョキチョキ裁断してくれるのです。日本の韓国料理屋で出る冷麺とは、内容も味も根本的に違うことを知るぐらい美味しい。ある平壤冷麺に詳しい専門家の話しを聞いて見ますと、「…本物の平壤冷麺は、澱粉(カタクリ粉)があまり混じっていない純蕎麦粉で作った麺であり、雉の肉のダシ汁とトンチミ(水キムチ)の汁を混ぜたスープの中に、肉、脂肪、肉の層になっているいわゆる豚の三枚肉(水煮した片肉ピョンユック)を冷麺の上にのせ、さらに、大根キムチ、梨の千切りをその上にかぶせ、半熟のゆで卵を細切りにしてかけ、松の実、唐辛子の糸切りをまぶし、芥子、酢を少しかける。これが完全な平壤冷麺なのだ」と。そして、今、ソウルで売っている冷麺は、蕎麦粉を少なめにメリケン粉とカタクリ粉を多く作ったものだから、本物の平壤冷麺の麺玉とは比べ物にならない。それに、ダシ汁も牛か豚から取っているし、もっといけないのはその汁の中に砂糖などの甘味料を入れているのだから、本当の平壤冷麺とはいえないんだと。そんな話を聞いてからは、そういえば、ソウルで食べる冷麺の味は、韓国の現代人向きの味に近いなあと思ったこともあります。
地下鉄2号線 乙支路入口駅1番出口より北の方向へ約50m